電気が無料に!?無限にエネルギーを生み出す核融合発電がやばい!

最近はずっと雨が続いていましたが、8月に入ってようやく夏らしい日が増えてきましたね!

私は暑さを我慢しないでエアコンを普通に使ってますが、やっぱり電気代は気になってしまいます。

現在日本では発電所の多くが火力発電となっており、天然ガス石油を燃やすことでエネルギーを得ています。

当然燃料を燃やす際に二酸化炭素などが発生しますし、天然資源にも限りがありますよね?

でも、電気がいくらでも生み出せて、しかも環境負荷がとても低い発電方法が将来実現しそうだということをご存知でしょうか?

 

7月に国際熱核融合実験炉「ITER(イーター)」の組み立てが開始されたというニュースがありました。

2025年の運転開始を目指しているこの核融合実験炉は、多くの国が参加している一大プロジェクトで、核融合発電を実現するための大きな足掛かりになります。

核融合発電は電気をほぼ無尽蔵に生み出し続ける夢のテクノロジーと言われており、世界中で研究が進められています。

今回は全人類の夢のひとつとも言える核融合発電についてご紹介しましょう!

核融合発電って何?

まずは核分裂核融合の違いについて説明していきましょう。

核分裂

現在の原子力発電では核分裂という現象を利用してエネルギーを取り出しています。(核兵器も基本的に核分裂を利用しています)

燃料になるのは、ウランプルトニウムという重い元素なんですが、これらの元素は非常に不安定で、あるきっかけを与えることで2つ以上の原子核に分かれる核分裂が発生します。

この核分裂の際に質量の一部が失われて、代わりにものすごい量のエネルギー放出されるのですが、この時に出る熱エネルギーでタービンを回し発電するのが現在の原子力発電の原理です。

しかし、福島第一原発の事故でも知られているように、ウランやプルトニウムという核燃料は非常に危険で扱いが難しいので、原子力発電は常に大きなリスクを伴う発電方法なんですね。

現在では原子力発電はやめて全て風力発電などの自然エネルギーに切り替えようという国も出てきています。

核融合

一方で核融合という現象は、核分裂とは反対に2つの原子核が1つに融合してより重い原子核になる現象で、融合の際に質量の一部が失われて、代わりに膨大なエネルギーが放出されます。

核融合は水素爆弾のように一気に反応を起こす形では実用化しているんですが、発電所で使えるように長時間安定して反応を起こし続けられる方法が完成しておらず、今後の課題になっています。

核融合ではウランやプルトニウムという危険な物質を使用せず、主に水素の同位体を燃料として少しずつ反応させるので、核分裂よりもはるかに安全なのです。

核融合は太陽と同じ原理

安定して核融合を起こし続けることは非常に難易度の高い技術なんですが、既に核融合を起こし続けているものが身近に存在していることをご存知でしょうか?

それが「太陽」です!

太陽は約50億年前から輝き続けている恒星で、水素が核融合を起こすことによってエネルギーを放出し続けています。

現在も元気に活動を続けていて、寿命は100億年と見積もられているので、核融合がどれだけ莫大なエネルギーを安定して生み出し続ける現象なのかわかりますね!

つまり、核融合発電とは人工的に小さな太陽を作り出すということなのです!

原料はいくらでも手に入る?

核融合の燃料として使用されるのは主に重水素三重水素という物質で、これは水素の同位体になります。

重水素は地球上にたくさん存在していて、海水にも多く溶け込んでいるのでほぼ無尽蔵に採取することができます。

また三重水素についても重水素ほどではありませんが自然界に存在している物質です。

そしてこれらの物質は工業的にも製造することもできるので、枯渇する心配はほぼないと考えてもいいんですよ!

つまり、核融合の仕組みが完成さえすれば燃料の心配をすることなく発電し続けられるのです!

1グラムから8トン分のエネルギー

核融合の一番すごいところは、少ない燃料から膨大なエネルギーが得られることです。

では、核融合でどれくらいのエネルギーが得られるのかというと、原料になる重水素1グラム石油8トンと同じ熱エネルギーになるのです!

1グラムで8トンはやばいですね・・

太陽が何十億年も輝き続けられるだけありますね!さすが核融合!

実現したら何が変わる?

莫大なエネルギーをほぼ無尽蔵に生み出し続けられる核融合ですが、実現したらどんな変化が起きるのでしょうか?

電気が無料に!?

核融合でエネルギーを無尽蔵に生み出すことができるようになれば、電気は今までよりはるかに低コストになるでしょうね。

一般家庭が1か月で使用する電気代はせいぜい数千円程度なので、それ以上にコストが下がるとなると何ワットまでは無料!なんてことにもなるかもしれませんね!

「またテレビ点けっぱなしで寝てる!」なんてこと言われなくなるかも?

いずれにしても今よりは電気代を気にしなくても良くなりそうです。

また、一般家庭よりも電気を使う会社などの組織では、電気代が本当に大きな負担になっているので、今までより生産活動の制約が少なくなるのは間違いないでしょう。

化石燃料が今より使われなくなる

近年になって多くの自動車メーカーが電気自動車をこぞって発売していますよね?

世界は間違いなく脱石油の方向に舵を切っていて、エネルギー源として化石燃料ではなく電気を使用する方向にシフトしています。

そのために再生可能エネルギーに力を入れる国が増えているんですね。(化石燃料は環境や人体に害のある物質が出てしまいます)

それに自動車など機械の動力に電気を使うことは環境負荷低減以外にもメリットがあって、内燃機関ではなく電気モーターにした方が機械の構造をシンプルかつ安価にできるのです。

核融合発電が実現されれば、化石燃料が今より使われなくなることはぼ間違いないでしょうね。

ただ、化学繊維などは石油から作られているので、燃料以外の使い道としては生き残り続けると思います。

危険性はないの?

核と聞くとどうしても核兵器原子力発電所の事故など危険なイメージを思い浮かべてしまうと思います。

しかし、核融合は核分裂よりもはるかに安全と言われており、プラズマ(小さな太陽)を維持できなくなれば核融合はすぐに停止するので、核分裂のように暴走する心配はないと考えられています。

しかもウランやプルトニウムのように危険な放射性物質を使わないから燃料の取扱いもより安全に行うことができるみたいです。(放射線リスクは核分裂を利用した原子力発電所の数百分の1程度といわれています)

メリットだらけの核融合発電ですが、反応中はプラズマを磁場で空中に固定し続けるする必要があったりと、とても難易度が高いテクノロジーなのです。

なかなかすんなりとはいかないのですね。

ITER(国際熱核融合実験炉)が組み立て開始!

先月、フランスで建設が進んでいる核融合実験施設ITER (国際熱核融合実験炉)の組み立てが開始されました。(この計画には日本も参加しています)

組み立て期間は何と4年半! 完成は2025年になる予定だそうですよ。

トカマク型といわれるこの核融合炉はものすごく巨大で複雑な構造なので、それだけ時間をかけて慎重に進める必要があるんですね。

スケジュール通りに進めば、2025年にはこの核融合実験炉で最初のプラズマを発生させる予定になっています。

また、ITERだけでなく世界中の企業や研究機関でも独自に核融合の実験が進められており、解決しないといけない課題はまだ多くありますが、実現に向けて着実に進んでいるテクノロジーなのです。

各国の研究者にはそれぞれ手を取り合って協力し合い、エネルギー問題を解決してほしいですね!

まとめ

今回は核融合発電についてご紹介しましたが、いかがだったでしょうか。

電気って普段使う時はそれほど意識していないものなんですが、私たちの生活になくてはなくてはならないもので、同時に使用することに様々な制約を受けている事実もあります。

もし電気を今よりもっと自由に使えるようになれば、生活の質が上がって、人間にできることが増えると私は考えています。

核融合発電が実現する未来がとても楽しみですね!