2020年6月、日本の科学界にとって嬉しいニュースがありました。
富士通と理化学研究所が共同開発し、6月から運用を開始したスーパーコンピュータ「富岳」が計算速度などの4部門で世界No.1を獲得しました。
スーパーコンピュータの分野で、日本はアメリカと中国にTOPランキングでしばらく引き離されていたのですが、約9年ぶりに日本の威厳を見せつけた形です。
ところで、テレビなどのメディアでスーパーコンピュータという言葉を聞いた事がよくあると思いますが、いわゆるこの”スパコン”は何ができるコンピュータで、どんなことに使われているのでしょうか?
今回はスパコンとは何か?そして最新のスパコン富岳のすごさについてご紹介したいと思います!
スーパーコンピュータとは何か?
スーパーコンピュータとは一体どんなコンピュータなのでしょうか?
一般的には”スパコン”と略されますが、”スーパー”とついているからにはすごいコンピュータなんだというのは誰でも予想がつきますよね?(スーパーマーケットじゃないですよ)
ひとことで言うと、スパコンは※計算能力がとても高いコンピュータのことです。
※コンピュータの進化はとても速いので、計算能力が高いのはそのスパコンが運用されている時代の話です。
スパコンを含む現在の主流であるノイマン型コンピュータは、全ての計算を二進数(0か1か)で行っています。
日本では、富岳の先代であり、2011年に稼働を開始した理化学研究所の京(けい)というスパコンが有名ですが、京はこの二進数の計算を1秒間に1京回(10ペタFLOPS)も行うことができるのです!
現代で普通のパソコンに搭載されているCPUの動作周波数は大体2.2~3.6GHzが主流です。
3.0GHzのCPUだと1秒間に30憶回の計算を行うことができるので、スパコンの計算能力がいかに高いかわかりますね!
しかし、京はひと昔前のスパコンであり、コンピュータの世界は進化速度が非常に速いので、現在は世界中でもっと計算が早いスパコンが運用されています。
この数年では、日本の富岳が計算速度No.1を獲得するまではアメリカや中国が計算速度の上位を独占していました。
また、スパコンは非常に大規模な設備で莫大な維持費がかかるので個人で運用されることはほとんどなく、企業や研究機関、国家機関が運用している場合がほとんどです。
つまりスーパーコンピュータは、超高速な計算能力を必要とする目的のために使う特別なコンピュータなのですね。
スーパーコンピュータはどんなことに使われているの?
めちゃくちゃ計算が早いスパコンですが、一体どんなことに使われているのでしょうか?
その用途は様々ですが、主に通常のコンピュータでは計算するのに何年もかかってしまうような大規模シミュレーションなどに使われます。
例えば、雲の動きなどの気象予測、化学物質の体内での働き、交通シミュレーション、流体の動き、といった用途ですね。
これらのシミュレーションは必要なパラメータ、要素が非常に多いので強力な計算力を必要としており、通常のパソコンではとても処理が追いつきません。
つまりスパコンは、工業、医療、交通、防災、社会問題など、様々な分野で私たちの生活をより便利にし、私たちを守るために必要な、とても複雑なシミュレーションに使用されているのですね。
そして、性能が上がるごとにスパコンにできることが増え精度もどんどん上がっており、これからますます人類に恩恵を与えてくれる存在になるでしょう。
最新のスパコン「富岳」がすごい!

冒頭でも紹介しましたが、理化学研究所では今年の6月から「富岳」というスパコンの運用が開始されました。
「富岳」とは”富士山”の別称ですが、このスパコンは日本が世界に誇る富士山のようにすごいのです!
TOP500で4冠達成!
TOP500とはスパコンの様々な性能を比較し、順位を決めているランキングのことです。
2011年には”京”が計算能力でNo.1を獲得しています。
そして2020年6月に富岳がスパコンで最も重要な要素といえる計算速度で世界一位を獲得しました!
これは日本のスパコンとしては京以来およそ9年ぶりとなります!(本当にひさしぶりですね)
その計算速度は約415ペタFLOPSで、京の40倍以上の速度であり、現在2位のアメリカIBMのスパコン「サミット」に2.5倍以上の差をつけています。
9年の間にどれだけパワーアップしているのかが伺えますね!

そしてNo.1を獲得したのは計算速度だけではありません!
他にも3つのNo.1を獲得しました。
- HPCG・・産業用アプリケーション実行時の処理速度
- HPL-AI・・人工知能が深層学習を行う際の計算処理パフォーマンス
- Graph500・・大規模なグラフを処理する際の性能
つまり圧倒的計算速度を持ちながら、実用的でもあるということなんですね!
使いやすさを追求した!
先代の京は、使えるソフトが限られていたため研究者の間では非常に使い勝手が悪いと評判でした。
使用したいソフトウェアを京で使えるように変換したりする必要があったからです。
京での教訓を生かし、富岳では使いやすさを徹底的に追求しており、パワーポイントといったプレゼン用のソフトウェアでも使用できてしまうほど汎用性が優れています!
やるときは徹底的にやるところが日本らしいですね!
新型コロナウイルス対策の研究で成果を挙げている!
スパコン「富岳」は、現在世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルス対策の研究に早速利用され始めています。
用途としては、新型コロナウイルスに有効な治療薬は何か?感染者がくしゃみをしたとき飛沫がどのように広がるか?などの解析に使用されており、使用開始からまだ間もないにもかかわらず多くの治療薬候補を発見したり、複雑なシミュレーションを正確に行いその威力を存分に発揮しています。
富岳のすごさと、人類にとってスパコンがいかに恩恵をもたらす存在なのかわかりますね!
スーパーコンピュータの進化は止まらない!

コンピュータの計算速度は半導体技術の進歩と連動していて、1年半ごとに性能が倍になるというムーアの法則に沿うように指数関数的に向上しています。
その証拠に、今までの歴史を振り返るとスパコンの計算速度は30年前と比べて数千万倍にもなっており、爆速の進化を遂げてきました。
それだけ進化してきたなら、そろそろ性能は頭打ちなのでしょうか?
全くそんなことはありません!
計算速度はペタからエクサへ
京が運用を開始した2011年から10年後の2021年には、アメリカが1秒間に100京回以上計算ができるスパコン「Aurora」の運用を開始する予定です。
1秒間に100京回という計算速度はスパコン京の100倍で、1エクサFLOPSに相当します。
ついに単位がペタからエクサにシフトするのですね!
そして2030年にはさらにその100倍、もしくはそれ以上のスピードを実現している可能性さえあるわけです。
何だかすごい時代になってきました!
プレ・シンギュラリティが近い?
この強力なハードウェアと、人工知能などのソフトウェアの進化が合わさることで、「プレ・シンギュラリティ(社会的特異点)」を迎えるのではないかと主張する人もいます。
プレ・シンギュラリティとは、コンピューティングの進化がある地点に到達したとき、スパコンがどんな難題にも最適解を出すようになり、人類が直面している環境問題や食糧危機などを解決し、今までの社会構造が大きく変わってしまう地点のことを言います。
そして忘れてはならないのが、スパコンの大本命である「量子コンピュータ」の実用化も控えているということです!
いかに強力なスパコンを持っているかが、その国の存亡を左右する時代が来るかもしれません!
まとめ
今回はスーパーコンピュータについてご紹介してみました。
あまり馴染みのない方でも、スパコンの重要さが少しでもわかって頂けたら嬉しいです。
進化し続けるコンピュータは、すごいと思う反面なんだか怖いと思う方もいるかもしれません。
確かに将来スパコンがもっと進化していったとき、”人間を滅ぼす方法”なんてシミュレーションしてしまったら、本当に恐ろしい結果になってしまいそうです。
どんなに素晴らしいテクノロジーも、人類を豊かにするために使ってほしいものですね!
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