今回は暗い話題になりますが「孤独死」についての話をしたいと思います。
近年は高齢者、特に独り暮らしの高齢者が増えたことで孤独死が増加傾向にあるようです。
皆さんは実際に身近で孤独死をされた方をご存知でしょうか?
孤独死に至る死因としては、主に持病による病死や家庭内事故が多いのですが、適切な応急処置が施されていれば助かったであろうケースも少なくありません。
つまり孤独死は、独り暮らしの人にとって発生リスクが特に高いと言えるのです。
今回の記事では孤独死をテクノロジーで防ぐ方法について書いていきたいと思います。
孤独死は年々増加傾向にある
下の図は東京23区内で発生した孤独死(孤立死)の発生数の推移を表したグラフです。
年々一人暮らしの方の死亡者数が上昇していることがわかりますよね?
冒頭でも書きましたが、高齢者の数が増加していることや未婚率の上昇などにより独居老人が増えていることなどが理由として考えられます。(一人世帯の増加)
これから高齢者の割合はさらに増えますから、一層深刻な社会問題になっていくと思われます。
ただし、孤独死が発生するのは何も一人暮らしの高齢者に限ったことではなく、家族がいる場合でもたまたま一人でいたときに発生する可能性もあるということを忘れてはいけません。
あらゆる手段を使ってでも防がなければならない問題です。
孤独死は周囲の人たちにも傷跡を残す
孤独死は家庭内事故や持病の悪化など健康上の問題で発生することが多いと言われています。
亡くなる方は誰にも助けを求めることもできずに亡くなるわけで、その苦痛を想像すると本当に胸が痛いですね・・
ですが、孤独死は同じ集合住宅や近所の人、そして何よりも遺族の心に傷跡を残すことになります。
助けられなかったという後悔・・やりきれません
夏場などで死亡後に発見が遅れた場合は遺体が腐敗し見た目が大きく変わってしまうので、生前親しかった人にとっては非常にショックが大きいのです。
できればその人との思い出は元気だった頃の顔で覚えていたいものですよね?
そして、孤独死が発生した現場では環境の汚染がひどい場合もあるので、特殊清掃という専門の業者に清掃を依頼する必要がありますし、住んでいる物件が賃貸だった場合は不動産会社にも迷惑をかけることになります。
適切な処置を施せば助かったケースも多い
繰り返しになりますが、孤独死の原因としては家庭内事故や持病などで体調が急激に悪化して亡くなる場合が主要因として挙げられます。
その場合、身動きがほとんどとれなくなってからしばらく生存していたと思われるケースもあり、倒れてから玄関まで這って移動しようとした形跡が残されていることもあります。
つまり、病気やケガで昏睡状態に陥った直後に適切な救命処置が施されていれば助かったと考えられる孤独死も多いのです
医学は日々進歩していますから、病院にさえ搬送できれば医師は何とかして患者を回復させようとあらゆる処置を行います。
現代医学では、手の施しようがないと匙を投げられることはほとんどないのです。
しかし、残念ながら瀕死の状態であることを誰にも発見されなければ対処のしようがありません。
孤独死を防ぐテクノロジーをご紹介します!
年々増加する孤独死を防ぐ方法はあるのでしょうか?
現代のテクノロジーを活用すれば、孤独死の発生率を激減させることが可能だと私は考えています。
必要なことはシンプルで、以下の3つが考えられます。
・異常がないことを家族など周囲の人に知らせる
・異常が発生した場合は迅速にあらゆる人に知らせる
・現場で応急処置を行う
現時点のテクノロジーで可能なこと
”応急処置”は現時点のテクノロジーでは難しいですが、人体の異常を検知する仕組みは既存のテクノロジーの組み合わせでも十分に確立することができます。
定期的に触れる物と連動したIoTシステム
誰にでも日課にしていることはありますよね?
例えば朝起きたらご飯を食べたり顔を洗ったり、シャワーを浴びたりする人もいるでしょう。
その日課の中で行われる動作には、生存していることを知らせる”サイン”として使えるものがたくさん含まれているんです。
お年寄りであれば、仏壇に線香をあげたり、ポットでお茶を飲む人が多いと思います。
下の動画は魔法瓶などを製造している大手メーカー「象印」が展開している「見守りホットライン」という安否確認サービスで、湯沸かしポットを操作するたびに家族にメールが送信されるというシステムです。
湯沸かしポットは使用頻度が高いので、長時間使われていないと異変に気付くことができるというわけですね。
その他、仏壇の「おりん」を鳴らすとメールが送信される「みまもりん」というサービスも開発が進められており、これはお年寄りの日課に着目したうまいシステムだと思います。
これは物のインターネットと呼ばれるIoTを活用した仕組みですね。
IoTに関しては以下の記事をご覧ください。
ウェアラブル端末

最近は腕時計のように装着する「スマートウォッチ」のようなウェアラブル端末などが増えてきました。
これらのウェアラブル端末の中には心拍数や血圧を測ることができるものもあり、スマートフォンと連携させてインターネット上にデータをアップロードできるものがあります。
対象となる人にウェアラブル端末を装着してもらい、家族など親しい人とこのデータを共有しておけば、現在の心拍数に異常がないかをモニタリングすることができます。
もちろん1日のうちで何度かは外すことがあるかもしれませんが、腕時計は長時間付けている人が多いので見守りシステムとしてはかなり有効です。
しかも、その人のバイタリティを詳細にモニタリングすることができるので、「心拍数が減っているor増えている」、「血圧が異常に低下している」など容態が急変する前兆もとらえることができるのです。
将来的には装着している人が危篤状態に陥ったことを検知してスマートフォンから自動的に通報するようなシステムも開発されるでしょう。
スマートスピーカー
今やアメリカでは当たり前になったAmazon Echoをはじめとしたスマートスピーカーも現時点でできる対策の一つです。
スマートスピーカーはAmazon Alexaなどの人工知能と会話できるようになっており、音楽を流したり明日の天気を聴いたりすることができます。
それだけではなく、電話をかけることも可能で「救急車を呼んで!」「通報して!」などレスキューを呼ぶこともできるのです。
実際にアメリカでは家庭内暴力事件が起こった際に加害者の音声を拾ってAlexaが警察に通報したケースも報告されています。
日本ではまだ普及率は低いですが、体の不自由な高齢者にとってスマートスピーカーと人工知能は心強い見守り役になってくれると思います。
将来的に可能になること
テクノロジーの進歩はとどまることがありません。
将来は今とは比べ物にならないくらい高度な、SF映画顔負けの見守りシステムや人名救助システムが登場すると思います。
その中から実現しそうなテクノロジーをご紹介します!
IoTをフル活用したスマートハウス
これもIoTの発展型になりますが、家中にセンサーを張り巡らせて住んでいる人が正常に活動しているかどうかをモニタリングする、という「スマートハウス」も研究されています。
- 生体センサー
- カメラによる画像認識
- 音を検知するセンサー
- 振動を検知するセンサー
これらのセンサーを家のいたるところに設置して誰がどこで何をしているのかを監視します。
人が生活しているときは、たとえ寝ている状態であっても何らかのサインが出ていますので、これをAIで総合的に分析して家人に異常がないことを判断するのです。
スマートハウスは家自体がひとつのAIと呼べるものですが、ここまで徹底したモニタリング機能を備えたスマートハウスはまだ実現していない&コストが高いので実現や普及までには時間がかかるでしょうね。
でもスマートハウスも現在のIoTやAI技術の発展型なので、いずれ家人の生存や異常を検知するシステムも必ず実現すると思います。
ただ、監視しているのがAIだとしても、ちょっと窮屈に感じる人はいるでしょうけどね・・
ナノマシンによる応急処置

ナノマシンという言葉をご存知でしょうか?
ナノマシンとは目に見えないくらい非常に小さなナノスケールの「ロボット」もしくは「構造体」です。
ナノマシンはどういうものかというと、血流などを利用して体内を巡回し体に異常がないかを監視する「人工の免疫細胞」のような存在です。
例えば、癌細胞が体の免疫をごまかして増殖しようとしているときに、ナノマシンが癌細胞を攻撃して殺す、というような使い方が想定されています。
その他にも、ナノマシン使用者が急病により危険な状態になりかけた場合にそれを検知し、体内に薬剤を放出して応急処置を行うという「体内病院」のような使い方ができるようになります。
これが実現すれば、使用者が昏睡状態になった場合に「自動蘇生」のようなことも行えるようになるでしょう。
もちろんナノマシンは非常に高度な技術なのですぐに実現するとは言えませんが、日本でも着実に研究が進んでおり、「ナノ医療イノベーションセンター」が癌細胞にだけ薬物を届けるナノマシンの研究などを行っています。
将来は遠隔医療だけで病院に行かなくても済むようになるかもしれませんね。
まとめ
孤独死の現状やそれを防ぐテクノロジーをご紹介しましたが、いかがだったでしょうか?
実際に孤独死する人は自分の健康や周囲の環境を気にしない「セルフネグレクト」と呼ばれる状態の人が多いようです。
最も大事なことは、「健康を維持すること」、「家庭内事故のリスクを減らす」ということなんですね。
孤独死は工夫次第で十分に防ぐことができます。
周囲の人とのコミュニケーションを絶やさない、というのもそのひとつですね。
そして残念なことに高齢者の増加、一人世帯の増加、未婚率の上昇によってこれからさらに孤独死は増えていくことが予想されています