はやぶさ2のサンプルリターン成功で宇宙開拓時代の幕が開く!?

コロナ禍のなかで、今月は日本にとっても世界にとってもうれしいニュースがありましたね!

JAXAの小惑星探査機「はやぶさ2」が12月6日、小惑星「りゅうぐう」の砂が詰まったカプセルをオーストラリアの砂漠に投下、見事6年ぶりの地球帰還に成功しました!

カプセルは既に開封されており、予想をはるかに上回る量の砂が入っていたとのことです!

カプセルを投下したはやぶさ2は拡張ミッションを行うために再び地球を離れ、別の小惑星に向けて飛行を開始しています。(到着はなんと2031年!)

満身創痍だったはやぶさ初号機と比べて今回は完璧な成功と言えるミッションでしたが、裏でJAXAのエンジニアたちがたくさんの苦難を乗り越えた結果の成功と言えるでしょうね。

同じエンジニアとして、どれだけの苦労があったのか想像できてしまいます・・

今回はやぶさ2が持ち帰ったサンプルは、太陽系や地球の成り立ちについて解明するために分析されるようです。

天体への往復技術が確立したことが画期的!

今までの宇宙探査は目的の天体に行ったらそれっきりで、探査機の寿命が尽きるまで現地から画像などのデータを送ることしかできませんでした。

最近の光学機器の進歩で、探査機に搭載されるカメラや分光光度計なども高性能にはなっているんですが、それでも探査機のみでできることは限られています。

しかし、今回ははやぶさ2が完璧なサンプルリターンを成功させたことで、天体の成分を地球に持ち帰って直接分析するということが可能になりました!

サンプルリターン技術の確立で、今まで間接的にしか観測できなかった宇宙が直接分析できるようになったということです。

※ちなみにサンプルリターン自体は既にアポロ計画でも行われていますし、2010年にはやぶさ初号機も小惑星「イトカワ」の”微粒子”を持ち帰ることには成功しています。

地球上のように目印がない宇宙のなかを、3億km離れた直径900mの天体に向かって移動し、土壌サンプルをしっかり採取してまた地球に戻ってくるというのはやばい技術なんですよね!(しかも総移動距離は50億km!)

アメリカや中国と比べて宇宙開発予算が少ない中、この分野では間違いなく日本が世界に先行していると言えます。

この技術は将来様々な惑星探査計画にも応用されるでしょう。

はやぶさ以外のサンプルリターン計画

実ははやぶさ以外にもサンプルリターン計画は様々な国で進行中で、既にサンプル採取済みのものからこれから計画されているものまで数多くあります。

オサイリス・レックス(アメリカ)

NASAの小惑星探査機、「オサイリス・レックス」ははやぶさ2から遅れること約2年弱の2016年9月に打ち上げられました。

オサイリス・レックスはリュウグウよりもさらに小さい小惑星「ベンヌ」のサンプルを持ち帰ることを目的としており、2020年10月にロボットアームを使って無事サンプルを採取することに成功しました。

しかも採取量ははやぶさ2よりもはるかに多い60g以上とのことです!これだけあれば世界中の研究機関とサンプルを共有することができますね。(ちなみにJAXAとNASAはリュウグウとベンヌのサンプルを分け合う契約を結んでいます)

ベンヌのサンプルを持ち帰って成分を分析し、もし地球に小惑星が衝突しそうになった場合どうすれば小惑星を破壊できるのか?といった地球防衛にも役立てられるようです。

オサイリス・レックスは2023年9月に地球に帰還する予定です。

ベンヌはまだ構成成分が良く分かっていない天体だけに、サンプルが到着するのが待ち遠しいです!

嫦娥5号(中国)

嫦娥(じょうが)5号月の石を持ち帰ることを目的とした無人探査機です。

月の石は1976年にソ連の無人探査機が持ち帰ったのが最後ですが、それから44年ぶりの今年12月17日に無事サンプルを地球に持ち帰りました。

そのサンプル量はなんと2kg以上になると見積もられています!

しかも嫦娥は月面からサンプルを乗せた小型機を打ち上げ、月軌道上で待機している母機とドッキングして地球に帰還するというとても高度な運用スタイルになっています。

月は将来有人基地の建設も予定されているので、今回のサンプルは現地で資源を調達できるかなどの調査にも役立つと考えられます。

MMX(日本)

MMX(Martian Moons eXploration)はJAXA主導の次なるサンプルリターン計画です。

今度は小惑星ではなく、火星の衛星「フォボス」の土壌サンプル採取を目的としており、日本以外にも数か国がこのプロジェクトに関わっています。

打ち上げは2024年を計画しており、現在運用方法や探査機の基礎設計が進められている段階です。

実は火星の衛星は「小惑星が火星の重力に捕らえられて衛星になった説」「火星の岩石が集まって衛星になった説」の両方があり、由来については結論が出ていません。

MMXがサンプルを持ち帰ることができれば、その成分を分析することで衛星の由来がわかる可能性が高いのです!

このプロジェクトでもはやぶさ計画で培った技術が大いに役に立ちそうですね!

宇宙開拓時代への扉が開く?

最近は宇宙関連のテクノロジーの進歩が一気に加速しているような気がしますね。

イーロン・マスク氏がCEOを務める「スペースX社」は今年、民間で初めて有人ロケットの打ち上げに成功し、ISS(国際宇宙ステーション)に宇宙飛行士を送り届けました!

しかも打ち上げたロケットが自動で戻ってきて再利用できる

イーロン・マスク氏は将来火星に人類を送ることも計画しています。

NASAのアポロ計画以来、予算の問題もあって宇宙開発の進歩は鈍くなっていたのが事実ですが、機械、化学、ITなどのテクノロジーが飛躍的に進歩したことで、止まっていた時計が再び動き出したように開発が加速しています。

はやぶさ2のようなサンプルリターン計画で得られた「行って帰ってくる」ノウハウは、月や火星への有人探査計画にも間違いなく役立てられます。

いよいよ本格的な宇宙開拓時代への扉が開くのでしょうか!?

今後のテクノロジーの発展が楽しみです!